千代田図書館

画期的な検索システムを備えた未来型公共図書館

 今年5月、新しくなった千代田区総合庁舎の9Fと10Fにオープンした千代田図書館は、驚くべき内容の公共図書館だ。従来の図書館と大きく異なる点が2つある。まず1つは、まったく新しい情報検索システムを導入していること。入り口を入ってすぐの場所に設置した「新書マップコーナー」で、テーマごとに分類された7,000冊の新書を閲覧することができる。ここで採用されている検索エンジンは、国立情報学研究所が開発した独自の「連想検索」システム。わざわざコンピュータにキーワードを打ち込まなくても、ICタグリーダーを組み込んだ書見台の上に新書を置けば、書籍情報を取得し、関連する情報を一覧表示してくれる。もちろん、キーワードを自由に打ち込んで徐々に目的の本を絞っていくことも可能。検索対象も館内にある新書だけに限らない。新書データベース「新書マップ」、神保町の古書在庫情報「BOOK TOWN じんぼう」、世界大百科事典など、各種のデータベースやインターネットから関連情報を検索できる。

 例えば、館内で見つけた新書から古書の情報を入手し、その本を売っている神保町の古書店の情報を得て、実際に買いに行くことができる。図書館における“知の検索”行為が、地域の活性化に結び付いているのである。
 2つめの特徴は、千代田区らしくビジネスマンの使い勝手が良く考えられていること。公共図書館としては始めて平日の夜10時まで開館しているので、会社帰りに立ち寄ることも可能。PC接続用の電源や有線LAN/無線LANにも対応しているなど、設備面の充実度も高い。しかも、何かわからないことがあれば常駐するコンシェルジュが丁寧に教えてくれる。地域の拠点として「近くで美味しい手頃なフレンチのランチが食べたい」などという質問にも答えるべく、日夜、探索を欠かさないとか。
 千代田図書館は、「本の街」神保町近くに立地するという特性を活かした画期的な図書館だ。本を借りて読むという従来型図書館の役割は、ここではもはや主役ではない。未来の都心型公共図書館はどうあるべきか。そのヒントがここにある。